この世の中には本物と偽物がある。
偽物は偽を真にするべく、本物をよく観察し本物に近づこうとする。
皮肉にもその結果、本物以上に本物になってしまうという現象が起きることがある。
以前、こんなコラムを読んだ事がある。
家で笹の葉に包まれた和菓子を食べている時の事だった。
その笹の葉は鮮やかな緑色をしていて、傷ひとつなく形も整っている笹だった。
その笹の葉があまりにも完璧できれいだったため、ポリエステルでできた造花だと思い、
感心しながらもその笹の葉を不燃ごみとして捨てた。
次の日の朝、何気なくごみ箱を見てみると、捨てた笹の葉がかさかさにしおれていて、
その時に初めて、笹が本物だったことに気づいた。
本物は朽ちる。本物は不完全だからこそ本物なのだ。
本物に近ずくための完璧を求め、接続可能な形態を追求しても、
そこに到着することはできない。